7月20日木曜日14:00~15:00に院内ハートホールにて栄養教室を行いました。今月のテーマは「ロコモって何?ロコモ対策」です。
初めに当院血管外科の大場医師より挨拶をしていただきました。話の概要としては、
「ロコモとはロコモティブシンドロームの略で、運動器症候群のことを言います。
運動器とは移動機能に関わる骨、筋肉、関節、神経の総称です。これらが弱ってきたり、障害されることで移動機能が低下している状態をロコモといいます。ロコモの状態は将来的に要支援・要介護の原因や介護度の重症化へつながります。
ロコモティブシンドロームという言葉は2007年に日本整形外科学会にて提唱された言葉で、他にも似たような言葉では身体活動の低下をいう「フレイル」や筋肉量の減少をいう「サルコペニア」があり、どれをとっても、日々の運動と食事が大切になってくる。」
といった内容でした。
次に管理栄養士の方から「ロコモ対策」をテーマに、食事を中心とした生活習慣のポイントをお話ししました。
ロコモの原因は大きく3つあります。
- 関節や椎間板の変性
- 骨の脆弱化
- 筋・神経の機能低下
です。
これらによって、疼痛や関節可動域の制限、筋力の低下、バランス能力の低下が起こり、移動機能の低下につながっていきます。そうすると、自分自身の身の回りのことができなくなってきて要介護へとつながっていきます。また、身体を車に例えると運動器とはエンジンやタイヤのようなもので、運動器のどのパーツが壊れても身体をうまく動かせません。身体をうまく動かせなければ呼吸器や循環器や消化器にも影響を及ぼしてしまいます。
ロコモ対策の運動についてはやはり日常的に身体を動かすことが一番です。身体は使われない骨や筋肉は強くしたり、作ったりはしません。日常的に身体を動かすことによって、身体に筋肉や骨を強くする必要があることを感じさせることが、筋肉や骨の強さの維持に必要になります。身体を動かす機会を増やして歩く力を高めておきましょう。
食事についてはまずは低栄養を予防することが大切になります。エネルギーが不足してしまっては、せっかく筋肉を作るためにたんぱく質を摂ってもエネルギーとして使われてしまうため、充分に筋肉などを作ることができません。さらに足りないエネルギーは身体の筋肉を壊してエネルギーを作り出すため筋肉を強くするつもりが筋肉を減らしてしまい逆効果となってしまいます。そうならないためにもまずは1日3食しっかり食べ、エネルギーを不足させないことがとても大切になってきます。その上で骨を強くするカルシウムやビタミンDやビタミンK、筋肉を強くするたんぱく質やビタミンB6が豊富な食事を摂っていきましょう。
最後に、骨や筋肉を強くする栄養素を豊富に含んだ食材を使った料理を試食として紹介しました。
1品目は「鮭のチーズ焼き」です。鮭にはたんぱく質はもちろん、ビタミンDも豊富に含まれています。チーズにはカルシウムが含まれており、鮭の上にかけてオーブントースターで焼くだけなので簡単に1品出来上がります。 付け合せに野菜を添えればビタミンKも摂ることができるので、この1品で骨を強くする栄養素がそろいます。
2品目は「パプリカのひき肉炒め」です。パプリカは野菜の中でも特にビタミンB6が豊富に含まれ、たんぱく質の代謝を助けてくれます。このビタミンB6はたんぱく質を豊富に含む赤身の肉や魚などにも多く含まれています。 こちらの1品もパプリカを切って肉と炒めるだけでできるので簡単です。
試食
エネルギー:272kcal
食塩相当量:1.0g
エネルギー:79kcal
食塩相当量:1.0g
梅雨も明け、暑い日でしたがたくさんの方にお越しいただきました。ありがとうございます。
来月からの栄養教室の予定は下記の通りです。
- 8月18日(金)「血糖値が気になる方へ」
- 9月20日(水)「腎機能低下が気になる方へ」
- 10月17日(木)「脂質異常症の食事」
いづれも14:00~15:00に院内ハートホールにて開催します。
参加費無料・予約不要となっております。またのお越しをお待ちしております。