12月21日(金)に栄養教室「腎臓を守るための食事」を開催しました。
腎臓は私たちの身体の中でごみ処理場とリサイクルセンター、そして生産工場の働きをしています。具体的には血液中の老廃物の除去や水分や電解質の調節、造血ホルモンの産生など実に多くの働きを担っています。それゆえに、腎機能が低下することでこれらの働きも出来なくなり、身体に支障を来たす訳でもあります。
腎臓はデリケートな臓器なので、慢性腎不全にまで一旦状態が悪化すると、腎機能が回復することはありません。進行していくのが慢性腎不全の特徴なのです。
そこで大事なのは進行を食い止めることになります。
腎臓病の食事療法の基本は、エネルギーの確保、減塩、良質で適正なたんぱく質摂取(たんぱく制限)になります。
たんぱく質は身体をつくる素となりますが、その燃えカスや過剰摂取分は分解され老廃物が生じます。その老廃物を腎臓が除去する役割をしているので、当然、たんぱく質を適正に摂っていないと腎臓に負担がかります。これがたんぱく質制限が必要な理由です。
摂取エネルギー量はたんぱく質を制限すると必然的に不足しやすくなります。ここでエネルギー不足に陥ると、身体の中で不足分のエネルギーを補おうと体内のたんぱく質(筋肉など)をエネルギーに換えようとして「たんぱく異化亢進」となります。この異化亢進こそが無駄にたんぱく質の代謝を促し、老廃物が増え、結果的に腎臓に負担をかけることになるのです。これが十分なエネルギーを確保しなければいけない理由です。
食塩摂取に関しては腎機能が低下するとナトリウムの排泄がうまくできず、体内にたまりやすくなります。そこで減塩をきちんと行えていないと、さらにナトリウムが体内にたまりむくみを生じやすくなります。その悪循環に歯止めをかけるためにも減塩は必須になります。
今回の栄養教室では、主にこの3点を中心に話をしましたが、腎臓病ほど食事療法の効果が顕著に表れる疾患はないと言われているので、今できること、今必要なことを実践していきましょう。
今年もたくさんの方々に栄養教室に参加して頂きありがとうございました。この場をお借りして御礼申し上げます。来年も引き続き栄養教室を開催していきますので、何卒、宜しくお願い申し上げます。
皆様よいお年をお迎えください。
今後の栄養教室の予定は下記のとおりです。
- 1月22日(火)「糖尿病、血糖スパイクから抜け出そう!!」
- 2月20日(水)「知っておきたい油脂(あぶら)の選び方」
いずれも14:00~15:00に開催します。 無料でどなたでもご自由に参加できます。(予約不要)