9月20日(金)に栄養教室「きちんと知っておこう!貧血対策の食事について」を開催しました。
初めのあいさつとして循環器内科の松本医師から、「貧血はそれだけでも体に悪影響を及ぼすものであるが予防や対策を取らないと様々な疾患に対する治療の妨げとなることがしばしばある。治療を円滑に進めるために、貧血対策を意識した食生活は大切である」とのお話がありました。
次に栄養士から貧血対策について説明しました。
貧血は色々と種類がありますが鉄欠乏性貧血は貧血の代名詞ともされ、食事からの関わりが深く食生活で予防や改善が期待できます。
今回は鉄欠乏性貧血の対策を中心に
- 1日3食、偏りなく食事をする
- 鉄を多く含んだ食品を積極的に摂取する
- 鉄の吸収を良くする工夫をする
を紹介させていただきました。
1. “1日3食、偏りなく食事をする”
食事量や食事回数が少なかったり偏った食生活で栄養素が不足すると必然的に鉄の欠乏を起こします。偏りなくとはどういったことかというと、主食、主菜、副菜を揃えることです。
2. “鉄を多く含んだ食品を積極的に摂取する”
鉄は残念ながらあまり体への吸収率は良くありません。鉄にはヘム鉄(主に赤身の肉や魚)、非ヘム鉄(主に野菜や海草)と2種類あり、ヘム鉄の方が吸収はとても良いです。
主菜にあまり赤身の肉や魚を摂る習慣がない方は、まず副菜類に合いびき肉を足したり、いつもの料理に多めに赤身の肉や魚を足してみるのは、いかがでしょうか。また、調味されていているレバーペーストの利用もお勧めです。
3. “鉄の吸収を良くする工夫をする”
鉄の吸収を良くするため鉄材の調理器具を使用したり、鉄の摂取は食べ貯めはできないため習慣的に摂取することを意識して、間食などで鉄入りのウエハースやヨーグルトを摂ることもお勧めします。また、鉄の吸収を助けてくれる栄養素であるビタミンC・B12・葉酸・銅を含む食材を合わせて摂ることが効果的です。そして、加齢による胃酸分泌の低下も鉄をはじめ様々な栄養素の吸収を妨げてしまうため、よく噛むことを意識し酸味を利用することも胃酸不足を補うためには効果的です。
最後にここまでの貧血対策の食事を踏た上で献立例を紹介します。
1つ目に吸収の良いヘム鉄を使用した際は、副菜に葉酸に富んだモロヘイヤを使用してはいかがでしょうか。今回はお浸しを紹介しましたが、モロヘイヤはスープ類や炒め物に使用することでビタミンCも効率よく摂取することができます。
2つ目に魚介オムレツですが、手間を省くため魚介ミックスを使用すれば手軽に鉄分やビタミンB12を摂ることができアサリを使用すれば、鉄だけでなく銅も摂取できるためお勧めです。
3つ目にひじきと切り干し大根の煮物ですが、乾燥ひじきは通常ステンレス炒りが出回っていますが鉄釜炒りを選べばステンレス炒りに比べて、10倍近くの鉄を摂取することができます。
その他の対策として主食なら、ライ麦パンやそばは鉄分が豊富に含まれています。ビタミンCは茹でると損失が大きいですので、付け合せに蒸かしたじゃがいもや、ホウレンソウのソテーなどを合わせる。また、レモンやトマトジュースも手軽に鉄の吸収を上げることができるため、ご自分に合う方法を試してください。
貧血は対策をきちんと知ることが、予防や改善にとても大切ですので、できることからコツコツと行ってみて下さい。
今後の栄養教室は以下の通りです。ご参加お待ちしております。
- 10月16日(水)分かりやすい、腎臓病の食事療法
- 11月19日(火)食生活に気を付けて免疫力を上げよう!
- 12月19日(木)簡単にできる!減塩の工夫
いずれも14:00~15:00に開催します。 無料でどなたでもご自由に参加できます。(予約不要)