栄養教室
第42回 栄養教室「腎機能低下が気になる方へ」を行いました (2016.6.15)

6月15日水曜日14:00~15:00に院内ハートホールにて栄養教室を行いました。今月のテーマは「腎機能低下が気になる方へ」です。

初めに循環器内科の落海医師より挨拶をして頂きました。
「腎機能が悪くなると血圧も上がりやすくなり、それによって腎機能の低下を悪化させ、悪循環を起こしてしまう。薬で抑える事もできるができるだけ最低限にしたい。そのためには食事や運動など生活習慣の管理が大切になってくる。」と言うお話でした。

様子

続いて栄養士から、「腎機能低下が気になる方へ」をテーマにお話しました。

腎臓というのは、体に有害となる老廃物を排泄したり、体内の水分や電解質の調節をしたり、と生命を維持するためにとても重要な働きをしている臓器です。腎機能が低下してくることによって、これらの機能が十分に働かなくなり、体に老廃物が溜まり「尿毒症」を起こしたり、余分な水分が排泄できず「浮腫み」の原因となったりします。特に「慢性腎臓病(CKD)」は加齢や高血圧、糖尿病などの生活習慣病から自覚症状も少ないままゆっくりと、しかし確実に腎機能を低下させていきます。腎機能が低下してきたときに食事で気を付けたいことは大きく3つ、「減塩」、「適切なエネルギー量の確保」、「たんぱく制限」となります。

今回はその中でたんぱく制限についてを中心にお話しました。たんぱく質は人間の体をつくるためには必要な栄養素ではありますが、腎機能が低下してきている中で摂り過ぎてしまうと、使われなかったたんぱく質から作られる老廃物が腎臓に大きく負担をかけてしまいます。そのため、体に必要な分だけのたんぱく質を摂り、老廃物を減らし腎臓の負担を減らすことで腎機能を維持していくことが必要となります。

摂取するたんぱく質はできるだけ動物性食品か大豆製品から摂ることが大切になります。その理由は、たんぱく質の構成成分であるアミノ酸のバランスの違いです。肉や魚など以外にご飯やパンや麺、イモ類や野菜類などにもたんぱく質は含まれていますが、これらから摂れるたんぱく質はアミノ酸のバランスが良くありません。アミノ酸のバランスの悪いたんぱく質は十分な体たんぱくを作ることができず、使われなかったたんぱく質は老廃物となってしまいます。動物性食品と大豆製品のたんぱく質はアミノ酸のバランスが良いため、十分に体たんぱくを作ることができ、無駄な老廃物も作られにくいのです。

たんぱく質制限をする際にただ単に肉や魚などを減らしてしまうと全体のエネルギー量が減るだけではなく、体たんぱくになりやすい動物性食品や大豆製品からのたんぱく質を摂る割合が減ってしまいます。そこで、利用してほしいものは低たんぱくごはんなどのたんぱく質調整食品になります。主食にたんぱく調整食品を利用することによって、穀類から摂れるたんぱく質を減らすことができ、肉や魚などから摂る量を増やすことができます。

様子

今月は低たんぱく食品や、栄養補助食品などを取り扱っている三和化学研究所の方に来ていただき、低たんぱくごはんやパン、うどんの紹介や使い方などを説明していただきました。

製品などの詳しい説明については三和化学研究所のホームページ(https://www.skk-net.com/)をご覧ください。

様子

今月の試食は「茄子とひき肉の炒め物」と「パプリカのカレーマリネ」です。

茄子は野菜の中でも油をよく吸収する野菜なので、炒め物などに利用するとエネルギーアップにつながります。 最後にタレをあんかけにすることで薄味でもしっかり味を感じることができます。

もう1品のカレーマリネは酢や香辛料をしっかり使って食塩を控えめにした1品です。

試食

料理
茄子とひき肉の炒め物(1人分)
エネルギー:235kcal
たんぱく質量:8.4g
食塩相当量:1.1g
料理
パプリカのカレーマリネ(1人分)
エネルギー:46kcal
たんぱく質量:1.7g
食塩相当量:0.3g
様子

今月もたくさんの方にお越しいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

今後の予定は下記のとおりです。

  • 7月21日(木)「高齢者の食事について」
  • 8月19日(金)「血糖値が気になる方へ」
  • 9月21日(水)「脂質異常症の方へ」

またのご参加お待ちしております。

戻る