有効性
心疾患患者のリスクを減少させます
冠動脈疾患患者で心臓リハビリテーションを実施した人は実施しなかった人に比べて、総死亡を20%減少、心死亡を26%減少させ、さらに非致死性心筋梗塞を減少させたことが報告されています。また冠動脈バイパス術後10年間にわたる長期比較試験において、心臓リハビリテーション施行群で心血管事故がほぼ半減することが示されています1-3。
運動耐容能が増加し、持久力、スタミナが上がります
筋肉の量が増え、質も良くなり、楽に動くことができるようになります。運動能力が向上すると、心臓への負担は少なくなり、日常生活の労作における息切れなどの症状が軽減し、QOL(生活の質)が改善します。この効果は性・年齢に関わらず認められます。
自律神経機能が安定します
心疾患が長引くと、自律神経のうち、「交感神経」と呼ばれる神経の活性が過度に上がります。これは、頻脈や不整脈、高血圧、不眠につながる良くない状況です。適度な運動は「副交感神経」を目覚めさせ、その結果心拍や血圧を整え、不整脈や高血圧を予防します。また、不眠を解消し、よく眠れるようになります。
末梢血管が拡張し、血行が良くなります
運動により血管が広がりやすくなり、手足が温かくなります。体のすみずみまで新鮮な血液を運ぶことができるようになるため、筋肉への栄養補給もスムーズになり、からだを動かしやすくなります。また血管内皮を強化し、動脈硬化を遅らせると言われています。
冠危険因子(心筋梗塞のリスク)を軽減します
高血圧、脂質異常、糖尿病、肥満といった、動脈硬化のリスクファクターを改善させる効果があります。特に、心筋梗塞や狭心症などの動脈硬化性疾患を起こした人にとっては食事療法と併せ、再発予防に重要です。
うつ状態を改善します
心筋梗塞をきたした患者さんの4割近くが、うつ状態に陥るといわれ、また精神的ストレスは動脈硬化性疾患の状態を悪化させるともいわれています。運動療法を行うことにより、ストレスを軽減し、精神的に不安定な状態を改善します。
- 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版) http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2012_nohara_h.pdf
- Marchionni N, Fattirolli F, Fumagalli S, et al. Improved exercise tolerance and quality of life with cardiac rehabilitation of older patients after myocardial infarction: results of a randomized, controlled trial. Circulation 2003; 107: 2201-2206.
- Hambrecht R, Wolf A, Gielen S, et al. Effects of exercise on coronary endothelial function in patients with coronary artery disease. N Engl J Med 2000; 342: 454-460.