心臓リハビリテーション部門
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2022.3.1
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その不調ミネラル不足かも⁉ミネラル補給で体を整えましょう。

♥ ミネラルとは

ミネラルは生体を構成する主要な4元素(酸素、炭素、水素、窒素)以外のものの総称で“無機質”ともいいます1)

ミネラルは身体の軌道修正の役目をしており、生理的要求量や吸収量、貯蔵量、排泄量を調整することで恒常性を保っています。なので、不摂生などでミネラルのバランスが崩れると体にも何らかの支障がでることは言うまでもありません。

体調不調を感じた際は食生活を振り返り、ミネラル不足を見直すことも必要かもしれません。

♥ ミネラルの種類と働き

ミネラルの代表的なものには、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、鉄、マグネシウム、亜鉛などがあります。

ミネラルは体内で合成することができないので食物から摂るしかありません。不足したら欠乏症として様々な不調が発生しますが、摂りすぎもまた過剰症を引き起こします。

ミネラルを栄養学的機能として大きく3つに分類すると、以下の1〜3になります2)

  1. 骨や歯の主成分…骨重量の1/3はたんぱく質、2/3はミネラルで構成されている。
  2. 細胞内、細胞外の主要電解質…体液の浸透圧の調整やPH維持を行っている。
  3. 生理活性成分の構成因子…各種成分(酵素など)の活性因子として作用する。

また、各ミネラルの生理作用を分かりやすいように図1にまとめました2)3)

図1:ミネラルの種類(一部)と生理作用

このように体の調整役のミネラルはなくてはならない存在で、糖質、たんぱく質、脂質の三大栄養素が主役ならば、ビタミンやミネラルのような微量栄養素は脇役です。しかし脇役がいなければ舞台は成り立たないように、この微量栄養素こそが私たちの体内の縁の下の力持ちなのです。

♥ 食品添加物(リン酸塩)とミネラル

食品添加物であるリン酸塩は体内で吸収されることのない添加物のため、その安全性からその使用頻度は多く用途も広いのが現状です。リン酸塩の添加効果は、PH調整、カビ抑制、沈殿防止、濁り防止、変色防止、変質防止、鮮度保持、乾燥防止、決着力増強、保水性増加、風味向上など多岐に渡ります4)。これだけの使用効果を目の当たりにすると、ほとんどの食品にリン酸塩が添加されているだろうことが予想されます。ではリン酸塩が添加された食品を摂取し体内に取り込むとどうなるか…。

胃内で胃酸によって分解され、吸収されやすい状態になったミネラルがリン酸塩と結合してしまい、本来は腸管でそのまま代謝吸収されるはずのミネラルが一緒に排泄されてしまうのです。簡単に言うと、リン酸塩は身体に害はありませんが栄養にもならないので体外に排泄されますが、その際に道連れになったミネラルまで排泄されてしまう、というわけです。

となると、できるだけリン酸塩の含まれていない食品を探すことが大切になるのですが、現実的にはリン酸塩が含まれていない食品を探す方が大変です。意識してミネラルを摂ることももちろん必要ですが、添加物の多い加工品やレトルト食品などに頼らず、なるべく手作りで素材の味を楽しむことがいかに大切かということが分かります。最近体調不良を感じている方は、もしかしたらその不調は不摂生による偏食が原因かもしれません。

図2:リン酸塩を多く含む食品の例

♥ 食品の精製に注意

イラスト現代人がミネラル不足に陥りやすい原因として、食品の精製が挙げられます。身近な例では精白米があります。

もともと玄米にはビタミン、ミネラルが豊富に含まれていますが、我々現在人はそれをついて白米にして主食として摂取しています。特に最近は機械で米をつく(精製する)ため、表皮を余すことなくツルツルピカピカの白米に仕上がり、必然的にミネラルもそぎ落としたものを「おいしい」といって口にします。

確かにミネラルは食材を煮炊きした時に出る“灰汁(あく)”に流出するため、時に不純物として扱われますが、食材そのものの持つ本来の栄養素を余すことなく摂ることで、微量栄養素であるミネラル不足は容易に回避できるのではないでしょうか。

参考文献:

  1. 厚生労働省:eヘルスネット健康用語辞典
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-035.html
  2. 川端照江 しっかり学べる栄養学(ナツメ社)
  3. 中嶋洋子 栄養の教科書(新星出版社)