心臓リハビリテーション部門
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2023.1.1
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知っておきたいこの時期の入浴方法。正しいお風呂の入り方でQOL向上!

寒さも深まる1月。年末には全国的に雪が降ったりと、ぐっと気温が下がっています。こんな寒い時期はお風呂にゆっくりつかって体を温めたくなります。

お風呂は体を清潔に保つだけでなく心も体もリフレッシュできる効果があるとされますが、入り方によってはヒートショックなどのリスクも上がります。特に心臓病などをお持ちの方は要注意!

そこで今回は“お風呂”について取り上げてみたいと思います。

♥ 入浴効果のあれこれ

日本人は昔から湯船につかってお風呂に入る習慣があります。入浴にはいくつかの効果がありますが、体への効能だけでなく心もリラックスでき、疲れた時には無意識に「ゆっくりお風呂に入りたい」などと言うこともあるのではないでしょうか。忙しいとシャワーだけで済ませてしまうことも多いかもしれませんが、お風呂にゆっくりつかることは様々なメリットが得られます。

それではまず入浴の効果について具体的に挙げてみたいと思います。

  • 温熱効果
    お風呂につかって血液のめぐりが良くなることで新陳代謝が向上します。代謝が上がり血行促進されるということは老廃物を排泄しやすくなるため、血液もサラサラになっていきます。 また、人間は体温が1℃下がると30%もの免疫力が低下するといわれていますが、お風呂につかることで深部体温が上がるため免疫力の向上も期待できます。
  • 静水圧効果
    お風呂につかると適度な静水圧がかかり、全身へ穏やかなマッサージ効果をもたらします。運動した後にお風呂につかることで疲労回復につながるのはこの効果のおかげです。その他、末梢にたまりやすい血液も適度に流れるので血行促進にもなります。
  • 浮力効果
    水中では浮力が働くのでお風呂につかることで、体重が10分の1くらいまで軽減します。そのおかげで全身を支えていた筋肉が緩みリラックス効果が増大します。

♥ 安心安全な入浴方法

寒い季節は特に、お風呂につかると体は温まりますが、一方で入浴中の突然死も指摘されています1)。特に11月から3月頃までの冬の時期は多く、その理由として寒さによる寒冷刺激によって血管が収縮し血圧変動が来しやすいこと、部屋の温度と脱衣所や浴室内の寒暖差があること、浴槽の湯の温度を高く設定しがちなこと、つい長湯をしてしまうこと、などが挙げられます。図1に入浴による血圧変動のメカニズムを示しました。

図2
図1: 入浴中の血圧変動 オムロンホームページより

では実際にどのようなことに注意するとよいのでしょうか。 安心で安全な入浴の鉄則2)として入浴の際の注意点を挙げてみます。

まずは脱衣所を事前に温めておくことです。そして浴室も暖かくしておくことが大事です。脱衣所は置き型の簡便な暖房器具を設置し、洗い場はシャワーなどでお湯をかけて部屋との温度差をなくしましょう。

次に入浴前後で水分補給をすることです。気付きにくいですが入浴中は汗をかいているので、特に入浴後は脱水にならないために、そして急激な血圧低下を防ぐためにもコップ1杯の水を飲む習慣をつけましょう。

そして最後にお風呂の入りかたです。必ずかけ湯をしてお湯の温度に体を慣らしてから入りましょう。そして少しぬるめの温度で半身浴をすることです。半身浴とは胸のあたりまでつかることを指します。寒い時期は肩までつかりたくなりますが、深くつかると水圧がかかり心臓に負担をかけることになるので、半身浴を心がけましょう。

イラスト
かけ湯をして体を慣らす
 
イラスト
脱衣所は暖める/
浴槽には肩までつからない
イラスト
水分補給をしっかり
 

入る時間帯も、運動後や飲酒後は心拍数が上がっているのでNG!入浴も日常生活の一部です。余裕を持ってゆったりお風呂に入れる時間を設けましょう。

♥ どれくらいの温度でどれくらいの時間つかるのが最適?

お風呂の温度は1~2℃変化するだけで体への効果も、そして影響も変わってきます。その境界線は「42℃」とされています。

42℃以上の熱めの湯につかると交感神経が優位に働きます。すると血圧は上がり脈拍も早まります。交感神経の働きにより筋肉も緊張し消化機能も低下。食欲減退も来します。

イラスト一方で40~41℃の少しぬるいかなと感じるくらいの湯につかると、副交感神経が優位に働くので血圧は適度に下がり、脈拍も落ち着きます。消化機能も活性するので便秘などにも効果があり、心身ともにリラックスできます。そしてこの40~41℃の適温の湯に10~15分ほどつかることで体温は約1℃上昇します。先ほども述べましたが、体温を適度に上げることは体力は回復や免疫力UPにもつながるため、入浴時間は10~15分を目安に入りましょう。逆にそれ以上の入浴は脱水なども引き起こしやすくなり、逆効果になるので避けましょう。

♥ 睡眠効果もある入浴

イラスト人間の体は入浴して温まり、少し上がった体温がゆっくり下がる際に眠気が訪れるとされます。時間にして30分~1時間後です。なかなか寝付けない、または寝つきが悪いと感じている方は、寝る時間から逆算して1時間くらい前に入浴することをおすすめします。体のメカニズムを最大限に活用して心地よい睡眠効果を期待しましょう。

このようにお風呂は体の汚れを落とすだけでなく、疲労回復やリラックス効果、睡眠導入などの様々な効果をもたらしてくれます。たかがお風呂、されどお風呂。少しの意識や工夫で心身ともに健やかに保ち、QOLの向上を目指したいものです。

参考文献:

  1. オムロンホームページ 知っておきたい「寒い季節の健康入浴法」
    https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/5.html
  2. 勝木達夫 安心安全な入浴の鉄則4か条  COCORO2022-2023Autumn/Winter(日本循環器協会)