知っていますか「冷房病」熱中症とセットで気を付けましょう
猛暑や酷暑が続き、ニュースでは連日、熱中症についての話題が取り上げられています。地球温暖化にともない年々深刻になっている熱中症、この心リハNOWでもその対策について取り上げてきました。
暑さ対策は大事ですが、それと同じくらい気を付けたいのが「冷房病」です。あまり聞きなれないワードですが、今回は冷房病について触れたいと思います。
♥ 冷房病はクーラー病ともいいます
夏真っ盛り、暑さ対策や熱中症対策はほとんどの方がされているのではないでしょうか。部屋の温度や湿度を調整し、こまめな水分補給に外出時には帽子などの着用。どれも熱中症対策には欠かせません。
しかし、快適さを求めるあまり室温を低くしすぎて冷房病になることもあるということを覚えておきましょう。冷房病はエアコン(クーラー)のかけすぎで陥る症状なのでクーラー病ともいわれており、この時期は熱中症と同じくらい冷房症についても知っておく必要があるのです。
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♥ 冷房症はなぜ起こるのでしょうか
冷房病とは、急激な気温差によって自律神経に異常をきたす状態を指します1)。
ヒトの体は暑さを感じると毛細血管を広げて放熱します。汗をかいて熱を外に逃すことで体温を下げているわけですが、冷房のきいた部屋にいながらも放熱されることで結果的に体温が下がりすぎてしまいます。また、室内の温度が低く屋外との温度差が生じることで、自律神経が乱れて体温調整がうまくできなくなります。そして手足の冷えや倦怠感、肩こりや腰痛、頭痛などの症状が出現し、冷房病が起こります。症状が進行すると食欲不振や胃腸障害、不眠などを招きます。
冷え | 倦怠感 | 肩こり | 腰痛 | 頭痛 |
♥ 冷房病を予防するには
➀エアコンの温度設定を適正に保つ
エアコンをかける際に暑いからといって温度設定を低くしすぎないことです。外気温との差があればあるほど自律神経が乱れやすくなるため、外気温の-3~4℃を目安に温度設定をすると良いといわれます。とはいえ、最近は40℃近くまで気温が上昇することもしばしばみられ、実際は-3~4℃より低い温度で設定することもあると思います。いずれにせよ、標準的な至適温度は25~28℃といわれるので、それを参考に室温管理をすると良いでしょう。
また、エアコンの風が直接あたらないようにすることも大事です。これは扇風機でも同じことがいえますが、風が肌に直接あたると体温が急激に奪われるため危険です。設定温度の調整だけでなく風向きを考えることも忘れないようにしましょう。
➁服装で体温調整をする
エアコンのきいた部屋で温度調整ができない場合、自分の服装で体温調整をする必要があります。カーディガンなどの羽織物を着用したり、スカーフなどで直接風が当たらないようにしましょう。アウターだけでなく肌着などのインナーを工夫し、特に冷えやすい足元や腹部を温めるようにハイソックスを履いたり腹巻を着用するのもおすすめです。
➂体温保持ができる生活習慣をつける
室温調整や体温調整への心がけは大事ですが、その他に日頃から体温保持につながる生活習慣を身に着けておくことも大切です。それは食事、運動、入浴です。
食事…夏は何かと冷たいものを口にしがちですが、エアコンのきいた部屋で冷たいものを食べると、中からも外からも体を冷やしてしまうため、なるべく温かい食事を食べるようにしましょう。飲み物も温かいものを選ぶと良いでしょう。
運動…常に涼しい場所にいることで発汗機能が低下しやすくなるので、日頃から体を動かし汗をかきやすい体に整えておくことが大事です。特に足先は冷えやすいため、適度に歩いて足の筋肉を使うことでポンプの役割を担ってくれ血流が良くなります。
入浴…夏になるとつい簡単にシャワーで済ませがちですが、湯船につかると体が温まるだけではなく適度な水圧が血流を改善してくれます。ゆっくりお風呂に入ることでリラックス効果も期待でき、自律神経の改善にもつながります。
食事 | 運動 | 入浴 |
このように熱中症と冷房病は背中合わせに存在しており、暑さ対策をするのと同じくらい寒さ対策も大切だということが分かるかと思います。最近、疲れやすいなと感じている方はもしかしたら冷房病の兆候なのかもしれません。今一度、エアコンの温度設定を確認したり食べるものに気を付けたりするなど、生活習慣の振り返りをするのも大切です。
まだまだ夏本番。正しい知識で自分の体を守っていきましょう。
参考文献:
- 家族の介護と健康を支える学研の情報サイト 健達ネット
https://www.mcsg.co.jp/kentatsu/health-care/21531